飲食店で勤務する場合、靴はどういうものを選べばよいのでしょうか。あちこち動き回ったり、重いものを持ったりと、体力的な負担が大きそうなので、できるだけ軽く快適で動きやすいものがよさそうです。しかしその一方で、接客の仕事である以上は、お客様に不快な思いをさせないようなものであることも大事です。清潔感は絶対条件と言えますが、他にどのような条件があげられるのでしょうか。今回は飲食店の仕事で履く靴はどういうものがよいのか、具体的に紹介します。
キッチンスタッフに最適の靴は
まずは、調理場で仕事をするキッチンスタッフはどのような靴を選べばよいのでしょうか。
まずコックシューズ!そのメリットは
キッチンスタッフには「コックシューズ」が絶対的におすすめです。ほとんどのキッチンスタッフがこれを履いていると思ってよいでしょう。店側から提供されることもあるようです。では、そのメリットとは何でしょう。
汚れをおとしやすい
靴の上面全体の部分(アッパー)が、たとえばスニーカーだったら布製です。そうなると油などの汚れが付いた時、その汚れが落としにくくなります。コックシューズであればそのアッパーの部分が水や油をはじく、すべすべツルツルの材質なので、付着した汚れが落としやすくなっています。衛生面でも見た目でも大事なポイントです。
滑りにくい
コックシューズは、上面は一見革靴のようにも見えながら、靴底は運動靴のような、水や油に強い、滑りにくい構造になっています。キッチンの床には、たとえこぼさなくても、調理によって飛び散った油などが付着していて、普通の靴では滑りやすく危険です。その意味でもコックシューズは必須となります。
やけどしにくい
水や油を通さない材質であるため、熱い水や出汁・油をこぼしてもやけどを防ぐことができる可能性が高いです。やはりこの点でもキッチンスタッフにはコックシューズが必須と言えます。
低価格
コックシューズは本格的な(高価な)ブランドものでは5,000円前後~10,000円近いものまでありますが、基本的には1,000円~2,000円程度のものが多いようです。
コックシューズのデメリットは
コックシューズの場合は上記のメリットがデメリットにもなります。水や油を通さずやけどしにくい材質であるがゆえに、通気が悪く蒸れやすいというデメリットが出てきます。さらに重くてクッションが悪いため、疲れやすいという点もあります。激務のせいで壊れやすいということもあります。ただ、疲れやすい・壊れやすいという欠点は高価なコックシューズの場合は解消されているようです。
コックシューズ以外だったら
たとえば「ダサい」などの理由で、コックシューズ以外の靴を選ぶ場合でも、キッチンでの仕事という想定を外すわけにはいきません。つまり、水や油などが染みにくい、滑りにくい、疲れにくいということを前提に選ぶ必要があります。そうなると、キッチンではできる限りコックシューズということになってしまいます。中には、デザイン性に優れたコックシューズも販売されていますので、ぜひ、探してみてください。
ホールスタッフに最適の靴は
では、接客が仕事の重要な部分を占めるホールスタッフの場合は、どのような靴を選ぶべきなのでしょうか。
ホールの仕事に合わせて
キッチンスタッフはキッチンの中での勤務が中心ですが、ホールスタッフはお客様とキッチンをつなぐ動きが中心となります。キッチンスタッフほど油汚れややけどの可能性は高くありませんが、ホールスタッフの靴にも、一応それに対する「水や油を通しにくい」「滑りにくい」という機能は必要です。さらに、座敷がある場合は靴を脱いだり履いたりする必要が出てきます。つまり「脱いだり履いたりしやすい」という条件が必要になってきます。
結論としては、座敷がなく靴の脱ぎ履きの必要がない店では、コックシューズが最適ということになります。座敷があって靴の脱ぎ履きが必要な店では、かかとの部分が低くなった、サンダルタイプのコックシューズが最適です。
スニーカーはどう?
店によっては黒いスニーカーはホールスタッフ用の靴として認めている場合もあるかもしれません。ただ、普段履きの靴をそのままホールでの勤務に使っている感じが見えてしまうと、お客様の中には不快感を覚える人も出てくるかもしれません。ですから、理想を言えばホールの仕事でも、コックシューズかそれに類する靴を選ぶ方がよいでしょう。遊び用の靴と取られかねないスニーカーよりも、飲食店専用の靴を履いていると見てもらえるコックシューズ系の方を強くおすすめします。
飲食店の仕事をこなすには靴選びが大事!
飲食店で仕事をする上で、靴は極めて大切なツールです。衛生面・安全面での重要性もさることながら、お客様から見ての信頼感もそこには込められています。キッチンスタッフでもホールスタッフでも、靴を選ぶ場合はそういったことを意識して選んでみてください。