社会人ともなれば多くの人が飲み会や接待、デートなどで飲食店を予約した経験をするでしょう。ただし、飲食店で働いている人からすると、きわめて多いのが仕事の都合でキャンセルなど。それも直前に変更の連絡が入って迷惑していることがあるそうです。これは予約者だけの責任ではなく、団体ともなると連絡にルーズな人がいたりなどして発生するトラブルのようです。今回はケースに備えて、予約者側にもお店側にもメリットを感じられる、無断キャンセル防止アプリのご紹介をさせて頂きます。
飲食店を取り巻く現状
市場の縮小
外食産業の市場規模は約25.1兆円(2017年時点)といわれてますが、最盛期1997年の29兆と比べると大きく縮小傾向にあります。理由としては調理済み食品の流行が大きな要因です。ただ最近では、インバウンド需要の拡大や法人交際費の増加、他にもUberEats(フードデリバリーサービス)のような新タイプの外食産業の台頭に伴い、今後市場としては拡大していくとも考えられます。中でも、UberEatsや、スーパーの惣菜のような『中食』に顧客が流れる傾向にあり、コンビニ・デパ地下・スーパーのようなお店に消費が流出している現状です。
人件費や材料費のコストの上昇
他にも慢性的に、コスト問題が挙げられます。コストといっても、沢山ありますがよく取りざたされるのは人件費・材料費の2つ。飲食店店長の方々はこの2つに頭を悩ませているそうです。例えば、人件費に関していえば、近年は外国人労働者を積極採用したり、正規雇用を減らし、非正規雇用やアルバイトの枠を増やすことで人材不足に対応しているお店も多いです。そもそもなぜ人材難かと言えば、給与水準が低いこと、拘束時間が長いこと、この2つにつきます。というのも、飲食店はあらかじめ客数を想定することが難しく、さらに複数のメニューを常に準備するため、一定数の従業員を確保する必要があるからです。この一方で、仕入れやテナント料金がかさむため、利益率が下がり、給与水準が上がらないという現状があるようです。また、拘束時間についても、BtoCビジネスのため土日営業が多く、不規則な休日となります。祝日やGWも営業日ですので、飲食サービスの年間休日平均は95.7日と、全体の108日と比べると10日以上も少ないのです。
インバウンドの増加
外食産業、特に都心部や観光地の飲食店にとって対応が必要となってくるのが訪日外国人に対するインバウンド対応です。これまでとは異なる客層がお店に来店するようになるため、例えば外国語のメニューや、外国人に対する接客なども必要となり、そのための人材の登用や育成も必要となってきます。また、外国人の旅行客はキャンセル率が高いことでも知られています。予約をしても、自分で連絡をするのが旅行中だと困難なこともあるため、こうした外国人に対応したキャンセルの対応が必要となります。
無断キャンセルの実態
問題視されている無断キャンセルをなくすために、飲食業界は新しい取り組みを始めているそうです。なかでも目を引くのは、損害賠償としてキャンセル料を請求するということ。例えば、コースのような前もって支払金額が決まっている場合のキャンセルは全額請求。来店後注文をするだけの席については、平均単価5~7割をキャンセル料金を請求するといった取り組みです。キャンセルになった場合は下ごしらえなどで使った食材などが丸まる、損失となるので当然ともいえる取り組みでしょう。
こうした対策の指針は飲食店だけではなく消費者にとっても利益になる点があるでしょう。飲食店の声として多いのは、『予約情報が偽装情報だったら?』『幹事からの要求がシビア過ぎる』がダントツに多いようです。キャンセルの対応で難しいのはキャンセルをした商品者を特定するのが難しいというと所にあり、お店が単独で見つけるのは事実上不可能でしょう。そこで最近では、ネットを通じたクレジットカードを用いた予約の必要性が説かれるようになってきています。例えばネット予約で事前に決済を行う場合には、通常よりも安い料金で利用できるというお得感を出すことで消費者にとってもメリットを出すことができ、お店側としては、クレジットカードからキャンセル料金を引き落とすこともできるため、双方にとってメリットのあるモデルを作ることが可能となります。商品者のモラルに依存した対策では限界がきていることから、こうした具体的な仕組みを整えることが急務と言えるのではないでしょうか。
また、無断キャンセルの種類が悪質なのか、突発的なのか分からないという点にありました。現行の法令上では、ドタキャンしたユーザーは、店に対して民事上の賠償責任を負う必要がありますが、実際は追っていない現状があります。また、悪質なキャンセルを繰り返し行う客先をブラックリスト化し、飲食店同士で共有する動きも進んでいるようです。ただこちらは本人の許可を得ない限り、個人情報保護法に抵触するため、対策としてはかなり難しくなっています。一方で、ユーザー側にも事情があり、悪質ではないケースもあるため、このケースの判別が難しく、どうしようもできないことが多くなっていました。
無断キャンセル防止のためのITサービス
こういった状況を踏まえて、最近ではアプリを用いた対策も出てくるようになってきました。例えば、飲食店向け予約管理システム『トレタ』が運営する『トレテル』がその一つです。トレタは、FAVY、ブライトテーブル、ポケットコンシェルジュ、USEN MEDIAなど飲食店事業者向けITサービスの有志企業と『NO SHOW(飲食店での無断キャンセル問題)』の解決のために、『無断キャンセル対策推進協議会』を設立しました。この動きと連動する形でトレタのサービスのアップデートを行い、飲食店が電話予約を受ける際にSMSを通じて、予約の情報とキャンセルのポリシーを提示するサービスを開始しました。
また、飲食店の経営らが頭を悩ませる法律・税・労務などの経営課題や、飲食店での無断キャンセルトラブル支援も目的とした、専門家による電話相談窓口サービス『トレタ飲食店相談サポート』も開始しました。トレタを使用する約1万2000の飲食店が対象になるとのことです。これらを用いることで、サポートコールセンターへの電話相談が可能になり、相談内容に応じて、登録された弁護士・税理士・労務士など、役1000事務所の中からマッチングしたスペシャリストと電話相談が可能になります。
その他のキャンセル防止対策
予約システムキャンセル防止
トレタ以外にも無断キャンセル防止サービスは多数存在しています。例えば、グルメアプリの食べログでは、キャンセル率が高い日の重複予約をできない仕組みを導入したり、食べログ店舗会員サービスの利用客先向けに無断キャンセル保証サービスも開始したりしています。こちらのサービスでは、原則100%の金額を保証しています。他にも、FAVYのノーショー保証サービス、ぐるなびにもぐるなび法人予約サービスがあり、同様のサービスが大手を中心に普及し始めています。
他サービス
他にも、役立つツールとしては『予約お知らせくん』というトレテルに似たサービスもあります。こちらは、予約内容を来店前日にSMSで告知するサービスですが、簡単に登録ができ、月100通までは無料なので、予約客が1日3件程度であれば導入がしやすいサービスです。他にも、トレタに似たサービスとして、TABLESOLUTIONやポケットコンシェルジュがあります。前者は、キャンセルプロテクションという事前決済機能を有したシステムで、予約と同時に決済をするため、ノーショーやドタキャンを防ぐ事につながります。特にキャンセル料金を取りこぼしている店舗にお勧めのシステムで、席数に応じて月額2000~20000円ほどで利用可能です。後者については、高級店に特化したサービスで、内容は前者とほとんど同じです。
上記に挙げた以外にも株式会社ジーテスエートが始めたマチコというプラットフォームも魅力的です。マチコはキャンセル発生後、店がキャンセル情報を登録すると同時に、その情報がマチコ公式WEBサイト上に即時掲載されます。そうすると、別のユーザーは空きを埋めてくれる存在として、通常よりお得な条件でお店を探すことができ、すぐに予約をいれることができます。店舗・ユーザー共に、登録・掲載は無料で、店側もマッチングが成立するごとに課金であるため、余分な費用はかかりません。マッチング成立時のみ、手数料を支払う完全成果報酬型システムです。マチコは、キャンセル枠の回避、食材ロス削減、法的リスクの回避、登録無料・登録から3か月間手数料無料で会員をお客さんも増やしやすい、など多くのメリットを享受しています。使いやすさ満点のサービスです。ドタキャン、求人、顧客管理が3大問題とされる飲食店業界において、利用者の想像以上に無断キャンセルの弊害は大きいそうです。上記のように、大手からベンチャー・スタートアップまで多様な会社がこの問題を解決するために既に動いています。今後ますます解消努力が促されるでしょう。ただ、法・税など経営上の問題点も数多く懸念されています。これらの問題を解決していくためには企業努力はもちろんのこと、利用客の「モラル」改革が必要です。SNSなどを通じてマナーを守ってもらうように呼びかけることも忘れてはいけないでしょう。今回の記事をぜひ参考にしてみてください。