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料理人が行う修行内容とは?調理師免許のとり方も確認しよう!

たとえばアルバイトでレストランなどの飲食店に勤めたときに、先輩料理人が作った料理に対して、お客様から満足と感謝の言葉を頂いた。たとえば自分自身が客として飲食店を訪れたときに、素晴らしい料理に感激して、こんな料理を作ってお客様に喜ばれる仕事をしてみたいと思った。そんな経験をしたことがある人も多いことでしょう。

そして、そのときに心に芽生えた、強烈なあこがれの気持ちをしっかりと抱きしめたまま、料理人の世界へ入った人。夢の実現に向けて、厳しいけれど着実な一歩一歩を歩み続けている人。あるいは今からその道へ進もうとしている人もいることでしょう。そんな人たちに参考にしていただけるように、料理人の修行について具体的に見ていきます。

料理人になるための修行の方法とは

高校を「卒業したら料理人になろう」と決心したとしましょう。あるいは「始めるなら早い方がいい」と大学などを中退して今すぐその道へ進む決心をしたとしましょう。具体的にはその先にどんなん選択肢があるのでしょうか。

専門学校・短大・大学に通う

調理師学校や専門学校、あるいは食物学や栄養学などの課程がある短大・大学に入学して、料理を基本から学ぶ方法があります。高校卒業後に進学するのが一般的ですが、年齢制限は特にありません。学費の負担や拘束時間などの問題がクリアできれば、料理人への確実な道となります。そしてそれらの学校は厚生労働大臣の指定を受けた調理師養成施設なので、1年以上の課程を卒業すると、調理師免許を申請する資格が与えられます。その資格がもらえたら、調理師試験を受けることなく申請が受理され、免許が取得できます。

ただし、短大・大学の場合は調理師・料理人になるための勉強や実習以外の、様々な単位を履修する必要があり、卒業までに2年あるいは4年かかります。逆に調理師学校・専門学校の中には特定の料理分野を集中的に勉強して1年で終了できるコースもあります。和・洋・中など自分の進みたい道を確定しているのか、それとも総合的に学びたいのかによって、進学先を考慮するとよいでしょう。

さらに、在学中に、飲食店でアルバイトをして、学費を稼ぎながら実戦経験を積む人もいるということも付け加えておきます。

お店で修業する

専門学校などを経ずに、いきなり飲食店現場で見習いとして修業をスタートするやり方もあります。お客様に料理をお届けして料金を頂く実戦の世界で、貴重な経験を積みながらスキルを身に付けていくやり方は、料理人を目指すために、これまでに多くの人が通った道でもあります。

そしてそこで2年間の修行を積めば、オーナーに証明書を発行してもらうことができます。それによって調理師免許試験の受験資格が手にすることができるのです。その場合、専門学校卒と違って調理師試験を実際に受験する必要があります。

さらに、勤めるお店が、調理師法によって対象とされる飲食店や、学校・病院・寮などの給食施設でなければなりません。そうでないと受験資格に必要な証明書を出してもらえません。ただ、飲食店であれば大丈夫ですが、、念のために確認しておくことをおすすめします。

フランス料理の修行

基本的なやり方としてはやはり、フレンチコースのある専門学校で学ぶ方法と、フレンチレストランに就職して見習いからスタートするという方法が考えられます。そして調理師免許を取得しておくこともやはりおすすめです。そしてその後、ある程度の熟練を積んだ後、多くのフレンチ料理人が考える次の行動は、フランスに渡って「本場でフレンチの修行をする」ということです。

実際に、現在日本でシェフをしている料理人のプロフィールにも「フランス修行の経歴」が書き込まれている場合が多いです。それぞれのシェフがその修行経験を生かして、フレンチの伝統と和の心を重ね合わせた独創的な料理を創作して、高い評判を得ています。もちろん日本に居たままで、フレンチ修行経験がある先人に師事してその真髄を学ぶことも可能ですが、フレンチの本場を自分の目で見て体験することは料理人としてスキルアップする上での大きな意味を持つことでしょう。

いずれにしろ、最初の段階で掃除・皿洗い・片付け・野菜の皮むき・食材の準備というような下積みの仕事を経験することは絶対に必要です。そして、そこから一歩ずつスキルアップを重ねていくことで、フランス料理人の頂点であるシェフへの道を開いていくという覚悟が必要でしょう。

中華料理の修行

中華料理の場合もコースが設けられた専門学校があり、そこで基礎から学ぶ方法があります。いきなり中華料理店で下積みから修業する方法もあります。調理師免許も必ずしも必要なものではありませんが、できれば取得しておいた方が将来のためにもよいでしょう。しかしここまでのことはあくまでも中華料理修行の基礎でしかありません。

いずれにしろ中華の道も熟練の域に達するにはかなりの修行が必要です。その上、中華料理の特色と言えば、巨大な中華鍋に大量の食材を入れて強力な火で調理するダイナミックさです。かなりの体力・腕力と健康が中華料理の修行を重ねていく上での必須事項になります。つまり、中華料理の修行においては、強靭な体力を前提としながら中華料理の腕前を上げていくことを覚悟しておく必要があります。

日本料理の修行過程

日本料理における修行中ではどのような段階を踏んでステップアップしていくのでしょうか。5段階に分けて見てみましょう。

第1段階

日本料理店の仕事の中では下積みの立場で「追い回し」と言われています。高校を卒業してこの世界に入る人も、調理師学校を卒業した人も、まずここからスタートです。食器洗い、調理用具の準備や片付け、食材の仕込みなどを担当します。まかない作りも任せられることが多いです。しかし、お客様に出す料理にはまだタッチできません。先輩の動きを見ながら、職場内で行われていることを一つ一つ理解していかなければなりません。

第2段階

始めてお客様に提供する料理に関わることができるようになるのが「先付け」「八寸場」です。しかしまだ調理を任されることはありません。上の段階にいる先輩が作ったものを手際よく盛り付けたり、基本的な包丁の使い方を習得して野菜などをきれいにむいたり切ったりする役目です。日本料理伝統の美しい盛り付け方を習得し、それを自分でもできるようにセンスを身に付けていかなければなりません。この役割までが下積み段階といってよいでしょう。しかし、お客様に出すすべての料理の仕上げともいうべき盛り付けをするので、かなり重要な役目を背負っていることになります。

第3段階

その名の通り焼くこと・揚げることを担当する立場で、「焼き場」「揚げ場」と呼ばれています。この段階で初めて調理に関わっていきます。「焼く」と「揚げる」は日本料理の技術の中でもわりと平易な方ですが、お店の評判にも関わる重要な仕事です。適切な火加減でできるかどうかを問われ、ここからは本格的な料理人の道をステップアップしていくことになります。現在はよほど大きな厨房でなければ焼く担当と揚げる担当を分けず、加熱部門の担当ということでひとまとめにして「焼き場」としている場合も多いようです。

第4段階

すべての料理の味付けとそのチェックを担当する立場で、「煮方」と呼ばれます。日ごろから刺激物を口に入れないように気を付けたりするなど、常に「舌」を大事にするプロ意識を持って生活しています。お店の味を守っているということは、店の運命を担っているといってもよいほどで、板前と並ぶ、あるいは場合によってはそれ以上の大事なポジションと考えられることもあります。

第5段階(最終段階)

カウンターに立ち、お客様から見えるところで腕を振るう、お店にとって最高位に位置する立場を「板前」と言います。お客様の目の前で包丁を使うため、調理技術だけでなく接客の場での会話など総合的な能力が必要です。
日本料理に関わる全ての人が目指す、栄光の最終ポジションと言ってよいでしょう。

修行先の店の探し方

料理人になるための修行先としてどんなお店を選んだらよいのでしょうか。

料理人としてスキルアップできるお店

アルバイト料や給与への関心も大事ですが、決してそこでとどまってはいけません。たとえば将来の独立・開業につながるような調理のスキルが習得できる店なのかというように、先々のことまで見越してお店選びをすることが大切です。足元だけを見つめながらの前進よりも、遠い目標を見据えながらの前進の方が、スキルアップの速度が大きくなることは間違いありません。そのためには評判の高いお店などを探すことが大切です。

店舗経営のスキルが身に付けられるお店

やはり、将来独立して一国一城の主になるというような高い目標設定の下、調理手腕だけではなく、経営手腕まで身に付けられるような優れたお店なのかということも条件にいれて考えることもおすすめです。

自分が出したい店に近いタイプのお店

将来独立することを目標する時、どんなお店にしたいかを考えてみることは大切です。その目標に近いタイプのお店を選ぶことができるなら、高いモチベーションを維持しつつ、充実した修行ができるものと思われます。

高い目標を掲げることが修行の質を高めることをバックアップしてくれることでしょう。

料理人になるためには調理師免許は必要?

上述の項の中でも調理師免許について若干触れましたが、調理師免許というのは絶対に必要なものなのでしょうか。

調理師免許は必須ではない

結論から言うと調理師の免許は持たなくても、身に付けた腕前だけで料理人として仕事をする事はできます。調理師免許がなければ料理人として働けないということは決してありません。飲食店に勤め始めて2年以内の人は調理師試験の受験資格を満たしておらず、当然免許は持っていないわけですが、飲食店での仕事をちゃんとこなしています。調理師免許を持たない熟練料理人もいるかもしれませんが、法的には問題はありません。

では、調理師免許はいらないのでしょうか。結論からいうと、できれば取得しておいた方がよいでしょう。何しろ調理師免許は国家資格です。新しい職場を見つけるときに信頼度と評価を高めてくれる武器になります。さらに独立・開店の時に必要になる「食品衛生責任者」の資格が付属しているので便利です。そういった点を考慮すると、「必須ではないが、取得することがおすすめ」ということになります。

調理師免許の取り方

既に上項で触れていますが、まず、国が認可している調理関係の専門学校の課程で1年(以上)の課程を修了すれば、調理師免許を申請する資格が与えられます。そして申請すれば試験を受けなくても免許を取得できます。

もう一つの方法は、飲食店など法の規定により調理修行の場と認められるお店で2年間勤務するというものです。2年の経験により、その店のオーナーに調理師試験受験資格を認める証明書を出してもらうことができます。そして調理師試験を受験し合格したら調理師免許がもらえます。

調理師免許の取得方法はこの二つだけです。

料理人の修行内容を知ってモチベーションにつなげよう

料理人の世界では、いきなり脚光を浴びることができる方法はありません。専門学校や飲食店現場で地道に下積み生活を経験しながらスキルアップを図り、階段を一段ずつ上っていくことが確実でしょう。今をときめく料理の名人たちも間違いなくその下積み時代を経験しているのです。そしてそこから一歩ずつ歩を進めて現在の位置にたどり着いているのです。目先だけではなく百歩先・千歩先をもしっかりと見据えながら歩を進めてきたのだと思われます。同じように料理人の道を歩いている方も、高い目標を掲げながら歩み続けてください。

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