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繁盛店と呼ばれる居酒屋はどんな店?人気の秘密を調べてみよう

繁盛している居酒屋とはどういうお店のことをいうのでしょうか。現在独立して居酒屋を経営している人、あるいは現在はまだ就業中で、今後の独立を目指している人にとっては、「繁盛店」という言葉は気になることでしょう。どういった状況だったら繁盛店と言えるのか、その繁盛店にするための必要なノウハウとは何なのか、今回はそのようなことについて確認していきます。

居酒屋で繁盛店とされる売上

自分の店の毎月の売上を記録して見比べるだけでは、月ごとの推移はわかっても、繁盛といえるのかどうかの判断は主観的なものになってしまいがちです。売上から繁盛の度合いを客観的に判断するにはどんな方法があるのでしょうか。

売上の計算方法から繁盛店を定義しよう

坪数や家賃がそれぞれ違う居酒屋の場合、月ごとの売上だけを見て「この店は繁盛している」とか繁盛しているとはいえない」などと決めることはできません。つまり、売上から繁盛の度合いを確かめたいときは、お店の家賃や坪数を条件として考える必要があるということです。そして実は、家賃や坪数を使って簡単に計算する方法があるのです。

1.家賃と坪数から考えるやり方

まず、居酒屋などの順調な経営のためには月に最低でも「家賃×10」の売上が必要だといわれています。つまり、家賃が40万円のお店であれば400万円の売上がないと利益が出にくくなるということです。「家賃×15」「家賃×20」といった月額売上になってくると繁盛店の仲間入りということになります。

2.坪月商という考え方

お店の1か月の売上をお店の坪数で割った数字が坪月商です。地域によって違いはありますが、10万円~15万円くらいの坪月商は必要といわれています。たとえば、30坪のお店の売上が450万円だとすると坪月商は15万円ということになります。20万円、30万円となってくると繁盛店といってよいでしょう。

繁盛店とそうではない店を比較してみよう

居酒屋の繁盛店とそうでないお店を売上、メニュー数、来店客数、客単価で比べてみましょう。

メニュー数が多いことが大事という考え方

2015年8月1日~31日の期間に全国の居酒屋のうち、1000万円以上の売上があったお店と300万円未満の売上だったお店約1000店に関してのデータがあります。

売上1000万円以上のお店:平均客数1日121人(1組平均2.42人) メニュー数163  平均客単価4836円
売上300万円未満のお店:平均客数1日21人(1組平均1.92人)  メニュー数87  平均客単価3912円

データ参考:https://tenpo.casio.jp/column/detail104.html

ただし、お店の規模(坪数や席数)・家賃などの条件が入っていませんので、1000万円以上のお店が繁盛店であり、300万円未満のお店が繁盛店ではないとは、一概にはいえません。大きなお店で売り上げが1000万円を大きく超えている場合と1000万円ぎりぎりの場合では状況は違います。売上が300万円程度でも小さなお店であれば繁盛店といえる場合もあります。したがってこのデータに関しては断定的な見方をすることはできませんが、繁盛店を目指す場合の考え方の一つとして見ていきます。

このデータで単純に読み取れることは、メニュー数が多いほど来店客数も多く客単価も高いということです。メニュ数の比が約2:1なのに対して来客数が約6:1となっています。バラエティーに富んだメニューの魅力が、お客様の期待感を高め、リピーターを含めてより多くの来店につながっている可能性は高いでしょう。そして、その期待感が客単価の比6:5つまり「20%増し」という結果にも表れているものと思われます。

新メニューを創作してメニューの総数を増やすことがお店を繁盛店にするための大事な要素の一つと考えることができます。現メニューの質を落とすことは避けなければいけませんが、もし余裕があるならば、チャレンジする方向で検討してみてはいかがでしょうか。

繁盛店のメニュー内容

メニュー数を増やすことは繁盛店実現のための有力な方法の一つかもしれませんが、日々の業務に追われる中でそう簡単に取り組めることではないかもしれません。メニュー数を増やしすぎることで負担が大きくなり、効率が悪化し、お客様へのサービス低下にまでつながってしまうという考え方もあります。お店を繁盛店にするためのメニュー改善策として、メニュー数増加以外に何か方策はあるのでしょうか。

メニューの種類分けをする

居酒屋であればおつまみ系の料理を希望するお客様もいれば、お食事系の料理を希望するお客様もいます。単品・セットでいろいろなニーズがあります。大きな売上につながるのは、特に常連客・リピーターの存在です。常連客に「やっぱりこれだね」といってもらえるようなメニューを中心に据えながら、斬新さで興味を引くメニューも用意しておく必要がありそうです。そして常連客に喜んでいただくことを土台としながら、その上で、新規のお客様にも十分満足してもらえることを狙ったメニュー設定を心がけるべきです。

お店の看板メニュー

常連客はもちろん、新規のお客様にも満足してもらえる、お店の「強力な武器」的な力を持つメニューを中心に据えてみましょう。数か月後に来ても数年後に来たとしても変わらない、お店の看板ともいえる絶対的なメニューを設定することが繁盛店作りの土台と言っても過言ではありません。

お店の定番メニュー

たとえば「ビールを飲むお客様であればこれ」「日本酒が好きなお客様にはこれ」「まだ食事をしていないお客様にはこれ」というように、オーダーしてもらえる可能性が高い単品・セットそれぞれの定番メニューを、客層やニーズに合わせて、しっかりと設定しておくことも大事です。「これが欲しい」と思うものがちゃんとメニューに載っている安心感がお客様をリピートへ導くことでしょう。

お店のアイデアメニュー

看板メニュー・定番メニューに加えて、「えっ、こんなのもあるの」「これ、いいんじゃない」と興味を持ってもらえるような斬新なアイデアメニューがあれば、お店のメニューはかなりの充実度を達成することになります。たとえばランチタイム・ディナータイムなど時間帯でのメニューの変化。日替わり・週替わり・季節ごとのメニューや、バレンタインやクリスマスなどのイベント対応のメニューなどでも独自のアイデアが出せます。お店を知り尽くした常連客に刺激を与え、初めてのお客様に「また来たい」と思ってもらえる新兵器となることでしょう。

また、居酒屋でありながら子供連れのお客様を想定してお子様セットを設定するなど、幅広いニーズに対応する方法もあります。

メニュー以外の繁盛ノウハウもちゃんとある

理想的なメニュー作成の他に、居酒屋を繁盛店にするためには重要視すべき点があります。

コンセプト・資金・場所が大事

周辺環境をふくめたお店の立地に関する状況判断をする必要があります。そしてサラリーマンが大きな割合を占めるのか、女性やカップル、子供連れなどの来店も見込めるのか、接待や各種記念日などの利用も想定するのか、といった客層やそのニーズを正確に予想・把握しなければなりません。それに基づいて、お店のコンセプトを確立することが繁盛する居酒屋への重要なステップとなることでしょう。

今後独立して開店を目指そうという人であれば、開店を考えている地域のお店をいくつも客として訪れて、飲食を楽しみつつ、自分がお店を持った場合を想定した観察をしっかりとしておくことをおすすめします。さらに、思い描いたコンセプトを変えずに繁盛店へと発展させていくためには、最低でも半年間経営を維持できる程度の資金が確保できることが理想です。開店当初はオープン人気で客足が多かったとしても、しばらくすると減少する可能性があります。そうなったときに改善策を練り、それを実践し、効果が上がるまでに半年くらいはかかるという覚悟で取り組むのがよいでしょう。1~2ヶ月で勝負するといった程度の資金では、軌道に乗る前に廃業せざるを得ないような事態になるかもしれません。

繁盛する居酒屋をつくっていくためには、周辺環境を考えた上での立地、資金、そしてそれらに基づいた経営のコンセプト。これらの要素ががっちりと組み合うことが大事です。

ネットの力を活用して集客

お店の態勢もしっかり整い、メニューも設定できたとなれば、繁盛する居酒屋を目指すために次に力を注ぐべきは「集客」ということになります。開店当初はオープン祝いの花飾りで、お店の前を通る人に大々的にアピールできます。しかし、競争の激しい世界ですからその期間が過ぎても、継続的に集客作戦を取る必要が出てくることでしょう。伝統的な方法としては新聞チラシという手があります。地域限定でよければそれもよいでしょう。しかし、折込費用に数万円から数十万円かけても、新聞と同じで見てもらえるのは配達された日だけで、しかも若い年齢層の家庭では購読数も減っており、費用対効果を考えると難点も出てきます。

やはり現代的な集客手段としては、SNSやブログなどのインターネットを利用する方法が必須といえるでしょう。ブログやホームページを作成して外観・店内の様子や料理などの写真をアップすれば低い予算で継続的な宣伝が可能になります。さらに、SNSなどを利用して日々の情報を発信することで、常連客だけでなく来店経験のないお客様にまで親近感・安心感を感じてもらえる可能性が高くなります。もちろん「両刃の剣」的な性質は否めませんので、しっかりとしたサービスをしないと逆効果の働きとなる危険性もあります。ですが、ネット活用は今後、居酒屋に限らずいろいろなお店経営の常識として定着していくことでしょう。

居酒屋繁盛店のポイントはメニューの充実から

居酒屋を繁盛させるためには、ビール、日本酒、ウイスキーなどお酒のラインアップの充実も当然ですが、それ以上に料理メニューの充実は絶対に欠かせません。そして、メニューの質が高いことは大前提であるとして、数で勝負するか、内容で勝負するかは考え方の分かれるところです。さらにお店の状況にも左右されます。お店の規模によっては200種類に近い、あるいはそれを超えるメニュー設定が可能な場合もあるでしょう。数十種類が限度で、数よりメニューの内容で勝負する場合もあるでしょう。状況や考え方は違っても繁盛居酒屋を目指せる道であることに変わりはありません。 お店独自のコンセプトに沿って目の前に続く道を突き進んで行ってください。

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