飲食店で起業独立を考えた際に、選択肢として浮かぶのがフランチャイズ(FC)の仕組みを利用した開業です。フランチャイズは様々なメリットがある反面、デメリットも。この記事ではそんなフランチャイズの仕組みや気になるロイヤリティの詳細について解説いたします。
1 飲食店のフランチャイズとは?
(1)仕組みの概要
フランチャイズとは、フランチャイズに加盟することで、フランチャイズ本部から既に事業として成立しているブランドや商品、サービス、運営ノウハウなどを利用できる権利をもらい、その対価をフランチャイズ本部に対して支払う仕組みです。
フランチャイズ本部は、オーナーを募集し、加盟店を増やしていくことで利益を増やします。ビジネスに必要な、仕入れ・販売・集客・採用・商品開発といった各要素を、パッケージとして利用可能にすることで、事業の立ち上げを円滑にすることができるというのがフランチャイズの利点です。加盟店はこうした獲得に時間や労力、投資がかかるそういったノウハウを、最初から手に入れることができます。
そして、加盟店はこうしたノウハウを受け取る対価として、「ロイヤリティ」をフランチャイズ本部に支払います。
(2)ロイヤリティの方式と相場は?
ロイヤリティには次の3つの方式があります。
売上歩合方式
売上歩合方式は最も多いロイヤリティの形態であり、加盟店の売上の数パーセントを、ロイヤリティとしてフランチャイズ本部に支払う方式です。売上高が大きくなるにつれて、ロイヤリティの料率がさがっていくパターンもあります。飲食業のロイヤリティの相場は、3%〜10%程度のところが多いでしょう。
定額方式
定額方式は、売上の金額にかかわらず、毎月の支払うロイヤリティが一定である方式です。1ヵ月で数万円〜十万円程度のフランチャイズ本部が多いです。
粗利分配方式
コンビニチェーンではよく用いられている方式であり、総売上高-売上原価によって算出される売上総利益に対して、ロイヤリティの計算が行われます。ロイヤリティ率は、約30〜70%であり、売上高に応じて料率は細く設定されています。
これらの方式はかならずどれか一つだけに限らず、いくつかの方式を組み合わせて行う場合もあります。
2 飲食店のフランチャイズのメリット・デメリット
それでは、フランチャイズのメリットとデメリットについても解説いたします。
まず大きなメリットは、フランチャイズ本部から経営のノウハウを教えてもらったり、本部からのサポートを得られることが大きいです。1から自分で経営を作っていくのと比較してすでに成功して結果を出しているノウハウを活用できるのであれば事業の成功率は上がるでしょう。また、フランチャイズになる事業はすでにある程度の知名度を得ているため、こうしたブランド力による集客力も重要な要素です。
一方、大きなデメリットは個性を打ち出しにくいという点です。フランチャイズの店舗のブランド力が落ちてきて集客力が弱まってきた場合でも、独自性のある取り組みをしていくには、本部の許可を得ないといけないなど、制約が増えてしまいます。また、ロイヤリティの支払いが経営を圧迫してしまう可能性があります。
3 フランチャイズの形態は?
フランチャイズの形態は、最近では新しいものもでてきています。そうしたフランチャイズの形態についてもご紹介します。
<.h3>1)独立店舗型FC
独立店舗型のFCは最も一般的なフランチャイズの形態です。お店の看板や内装、制服、メニューなども全てフランチャイズ本部によって設定されたレギュレーションんに基づいた統一感のあるものとなっています。
(2)併設型FC
併設型FCは、店舗の一角にフランチャイズの業態を併設するタイプのものです。例えば、一品のみを提供するようなフランチャイズなどであり、カフェなどが一品フランチャイズ形態のスイーツのブースを店内に設置するようなものです。
(3)フリーネーム型FC
フリーネーム型FCの場合、メニューの提供や経営のサポートなどはありますが、お店の名前などは各店舗の裁量に任せられている形態です。有名なところでは「家系ラーメン」などがあるでしょう。この場合、メニューなどは提供されていますが、各店お店の名前は違っており、個性を打ち出す余地があります。
4 フランチャイズで儲けるためのポイントは?
こうしたフランチャイズで利益を出して設けるためには次のようなポイントに基づいて、フランチャイズを選択しましょう。
(1)初期投資額、及びロイヤリティ料
初期投資額があまりにも高かったり、ロイヤリティ料が高い業態の場合、利益が出しにくくなります。この場合単純な数値の比較ではなく、その業態のビジネスモデルと合わせて検討をする必要があるでしょう。
(2)新規の集客力
フランチャイズの最も重要な点はそのブランドの持つ新規の集客力があるかどうかです。例えば人気のお店でも店舗が増えだすタイミングでは話題性が高いため、集客は容易ですが、ある程度店舗数が増えてしまうと、急に集客力が落ちてきてしまうタイミングがあります。
(3)リピート率
業態にはリピート率があります。例えば話題性の高いスイーツなどの場合、新規集客は比較的容易ですが、一度来たお客さんがリピートする可能性が低いものもあります。こうした業態の場合ブームが過ぎてしまうと一気に経営が悪化してしまいます。
(4)営業利益率
経営上重要な指標が利益率です。どんなに集客ができている業態であっても、薄利多売型のお店の場合、利益率が低くなってしまうため売り上げが低下すると一気に赤字になってしまう場合があります。したがって、様々な状況でも利益を適切にキープできるかを検討する必要があります。フランチャイズによる開店はメリットとデメリットがそれぞれあるため、それぞれをよく理解したうえで開業を検討しましょう。有名なフランチャイズだから成功間違いない、と安直に考えるのではなく、改行するエリアの特性や相性を考えたうえで、適しているかどうかを判断するようにするよう心がけることが重要です。