香水の放つ華やかで芸術的な香りも、飲食店という味わいを楽しむ場ではあまり評判は良くないようです。明らかな嫌悪感や拒否反応を示すお客様もいるようです。一方で日常的に香水を愛用している人からすれば、香水なしで出かけるのは気が進まないかもしれません。従業員であればお客様への迷惑を考えると、香水禁止もやむを得ないということになるのでしょうか。それでは、お客様の香水はどうすればよいのでしょうか。「飲食店で香水」これは結構厄介な問題です。今回は飲食店での香水について考えていきます。
飲食店で働く人の香水は原則NG
結論から入ると、飲食店での従業員の香水は原則NGです。その辺のことを具体的に考えていきましょう。
香水が原則NGなのはなぜ?
NGの前に原則という言葉をつけていますが、これはすべての飲食店においてNGというわけではないということです。香水OKの店もあることでしょう。ここでは一般的な飲食店という想定で考えてみます。香水NGの最大の理由は、その場が飲食店であるということでしょう。お客様は料理の「味」と「香り」を楽しむために来られます。そこへたとえ上品な香りであっても、料理とは無関係の匂いが混ざることを不快に思うお客様は多いことでしょう。さらにそれが他人の体に付けられたものであることを考えると、嫌悪感が増すことにもなります。実際にネット上の口コミサイトなどでも、「店員の香水の匂いがいやだった」といったようなコメントが数多く見られます。
ではキッチンスタッフの場合は、お客様と接することはほとんどないので香水OKでしょうか。香水の匂いが常に臭覚を刺激している状況で仕事をしていると、料理の香り・風味に対する感性が鈍る危険性があります。そうなると料理の品質そのものに影響が出かねません。キッチンスタッフの香水もNGと考えるべきでしょう。
結局、接客担当のホールスタッフであっても、調理担当のキッチンスタッフであっても、香水の匂いはお店の人気・評判に悪影響を及ぼす可能性が極めて高いということになります。
その他のにおいも注意
香水だけではありません。整髪料やタバコの匂い、さらに体臭などもお客様に不快感を与えてしまうことになります。座敷など靴を脱ぐ必要がある場合は足のにおいも要注意です。ただ、異臭とは言え完全にゼロにできるわけではないかもしれません。しかし、飲食店内で許されるにおいは、原則として料理関連のものだけという考え方を忘れずに勤務した方がよいでしょう。
飲食店のバイトで体臭が気になるときは?
体臭などを消すために香水を使いたいけど香水NG。ではどうしたらよいのでしょう。例えば、休憩時間のタバコは風下に向かって吸い、煙が体の方に来ないように工夫するべきです。喫煙後もうがい・手洗いで、できるだけ匂いを消すことを心がけましょう。体臭や足のにおいに関しては、家を出る前にシャワーを浴びる習慣つけたり、場所の余裕があれば、勤務の途中で下着や靴下を着替える・履き替えることもよいでしょう。さらに無香料の制汗剤シートや制汗剤スプレーを使う手もあります。
他のお客様のために香水臭が強い客は入店拒否できる?
では香水臭の強いお客様への対応はどうしたらよいのでしょうか。やはりネットでも、「他の客の香水臭のせいで、料理がおいしく感じられなかった」というようなコメントも多数あげられています。店側としては対応に苦慮しそうです。
入店拒否は可能
法的には、理由が「差別」ではなく、「他のお客様に迷惑がかかるから」ということであれば入店拒否は許されます。他のお客様が「強い香水臭が気になって、料理が楽しめない。何とかしてほしい」と言う状況に陥っているようであれば、退出をお願いすることに関しては法に反しないことになります。
現実的な対応はどうする?
ただ現実的には、そのまま事が丸く収まる可能性は低いかもしれません。「失礼な」「差別だ」とひと悶着あることを覚悟しておかなければなりません。その上で店側としては、「これは決して差別ではない」ということをしっかり伝えましょう。「香水のにおいは上品で魅力的なものではあるが、料理を楽しく味わうことへの障害」。「他のお客様に不快感を感じさせることになる」ということを、明確に伝える必要があります。
その際、他のお客様にも配慮して、できるだけ冷静に、スマートに行うことを心がけることが大事です。さらに、あくまでも香水の強い匂いだけの問題なので、その点を見直してもらえれば、しっかりと心を込めたおもてなしをさせていただく旨もしっかり伝えましょう。
それでも解決しない場合は、業務妨害ということで警察に相談することもやむを得ないでしょう。
匂いの迷惑度を客観的に判断するのは難しいことですが、すべてのお客様に楽しく過ごしていただくためのルールとして、入り口ドアなどに普段から張り紙をしておくという手もあります。その際も、あくまでもすべてのお客様のためということを明記しておかなければなりません。
おしゃれな香水も飲食店内では原則全面NG
魅力的な香りの香水も飲食店ではやはり原則NGです。さらにその他の料理以外の匂いもNGということで、できるだけ発生を抑えなければなりません。せっかくのおいしい料理や誠意あふれる暖かいおもてなしも「匂い」によって台無しになる可能性もあるのです。スタッフ全員の共通認識事項として徹底しておく必要がありそうです。