古来より長きにわたって引き継がれてきた伝統と格式を現代に伝える和食。世界中のどんな料理にも引けを取らないほどの格調の高さは、日本の歴史と文化を象徴する威厳と風格さえあわせ持っていると言ってもよいでしょう。そんな和食を提供する日本料理店を訪れるお客様の方も、その格調の高さを十分に理解し堪能できる熟練した感覚をお持ちの人がほとんどだと思われます。そして若い世代の中には、そんな和食の世界で腕を磨いて、料理人として一旗揚げたいと思う人も多いのではないでしょうか。そこで今回は和食のお店での仕事について、メリット・デメリットや具体的な仕事の内容について紹介します。
料理人として和食の仕事は大変?
和食の料理人にとって仕事の特徴を確認してみましょう
拘束時間が長い
開店直線から仕事開始というわけにはいきません。お客様を迎え入れる時刻までには、店内の掃除や、予約の確認、仕入れの確認、食材の仕込みなど、注文を受けてすぐに調理しできるだけ早くお客様に提供できるように、すべての準備を整えておく必要があります。営業終了も夜の遅い時間帯となるため、拘束時間が長くなる可能性は大きいでしょう。
人間関係が難しい
料理人の世界は、体育会系的な上下関係が厳しい風潮が今でも根強く残っている場合が多いようです。手取り足取りといった感じの丁寧で優しい指導はあまり期待できないかもしれません。
お客様対応
和食通のお客様に接するとなると、やはりそれなりの格調を感じさせる態度・身のこなし方・言葉遣い、さらには和食に関する知識などが求められそうです。日常生活ではあまり経験することのない世界だけに、上司や熟練者の指導とアドバイスをもらいながら少しづつ習得していく必要があります。
料理を細かく覚えることができる
基本的な料理技術からトップレベルの腕前を要する技術に至るまで、調理に関して細かく区分された手順を習得しながら、日本料理の本質を理解していくことができる、そのための道筋が準備されていると言えます。
和食の仕事の役割について紹介
日本料理店で和食を提供する仕事において、厨房で割り当てられる具体的な役割分担を確認します。
追い回し
和食の仕事についた場合、最初に割り当てられることが多いのが「追い回し」という仕事です。厨房の中では「見習い」的な立場になります。調理など熟練を要する仕事はまださせてもらえず、さまざまな補助的な仕事にあわただしく追い回されるところから来た名前とも言われています。たくさんの食器を洗ったり、様々なパターンがある料理の盛り付けを覚えていったりしながら、厨房全体の仕事の流れを理解し把握していかなければなりません。そしてその流れの支障とならないように、スムーズな流れに貢献できるように、要領よく仕事を進める状況判断の力を身に付けていかなければなりません。
盛り付け
熟練料理人が作った料理を盛り付けます。料理によってあるいは季節によって皿との組み合わせを最適のものにできるようなセンスを磨いていかなければならない仕事です。
焼き方
揚げ場でてんぷらなどの揚げ物を担当して、初めてお客様に出すものを作る仕事をすることになります。そしてそれに続いて焼き魚や田楽などといった焼き物を担当する「焼き方」も任されるようになります。焼き方は本格的に和食の料理人としての腕を高めていくかどうかを決める重要な岐路ともいえる仕事です。
椀方(わんかた)
椀方はお椀物、つまりお吸い物などの汁物を作ったり、汁物以外にも多くの料理に使われる出し汁の準備をしたりする仕事です。出し汁と言えば「そのお店の味」と言ってもよいくらい大事なものですので、椀方もかなり重要な立場にいることになります。
立板(たていた)
料理長に当たる「花板」の補助をする立場です。序列で言うと二番目に当たるので「二番板」という言い方もあります。料理の味付けをしたり、カウンターのあるお店では料理をしながらお客様の対応もします。
花板(はないた)
厨房では料理長の立場であり、最高責任者でもあります。まな板を前にした仕事が中心なので、「板前」とも言われます。和食でも最高難度と言われる刺身を担当します。
料理人として和食の道を究めよう!
伝統と格式を誇る和食では、その仕事内容も多種で、細かく序列化された階段を一歩ずつ上っていくように技術と意識を習得していく道のりが待っています。それだけに意欲とモチベーションもかきたてられ、熟練の道を積極的に突き進むエネルギーももらえそうです。栄光の「花板」目指して努力を重ねる経験は人生の中の大きな糧となることでしょう。ぜひチャレンジしてみてください。