飲食店の仕事をやっていく中で起こり得る問題として、何らかの不備・不都合が発生してお客様に迷惑をかけてしまい、クレームをつけられるということがあります。誠意をこめて抜かりのないように業務を行っていても、まさかのミスを起こしてしまう可能性はゼロではありません。たとえ日頃特に問題なく、毎日順風満帆に取り組めている仕事ではあっても、決して油断は禁物です。好調のときこそ慢心からくる不手際ということも警戒しておく必要があります。いざというときにために、精神的な準備と具体的な対処法を確認して置くことをおすすめします。そこで今回は飲食店に対するクレームについて、その事例や謝罪の行い方、その対応を行う上で気を付けるべきポイントなどをご紹介していきます。
飲食店のクレーム事例と謝罪の行い方
具体的に飲食店に対しての代表的なクレームとその謝罪方法について確認していきます。
異物混入があったときは?
髪の毛や何かの破片などの異物が料理の中に混入していることでのクレームはよくあるようです。その様な場合どういった対応が適切でしょうか。
早急な新しい料理の提供
原則として、お客様にすぐに謝罪をし、新しい料理を作って提供し、さらに料金は頂かないという対応が必要です。お客様が異物を口に入れて口の中を怪我したような場合は治療費なども必要になります。
接客中、お客様にやけどなどの被害を負わせたら?
出来たばかりの熱い料理をうっかりお客様の手などにかけてしまい、やけどを負わせてしまうなどの被害を与えた場合の対応はどうしたらよいのでしょうか。
被害の状況を見て、救急車の手配を進める
程度が軽く、お客様も食事することを希望されるようであれば、丁寧な謝罪と共に料理を提供し、料金は頂かず、さらに慰謝料的な意味合いをこめて、その時点でできるサービスを無料で提供したりします。もし、重い状況であれば、応急手当や救急車の手配など最善の策を緊急に講じる必要があります。そして後日、場合によっては弁護士を交えて、賠償などについての話し合いの場を持つということもあります。
店員の態度にクレームがあったら
店員の接客態度が悪く、お客様に不快な思いをさせてしまった場合のクレームの対応はどうしたらよいのでしょうか。
状況をヒヤリングしたうえで、謝罪を行う
特定の従業員のみに問題があった場合は、お客様からの話をもとに誰であるか特定し、状況を説明させます。同時に上司がお客様にその時の状況を具体的に聞いて全容を把握する必要があります。そうした上であらためて正式に謝罪し、料金を無料にしたりお客様のお好みのメニューを無料で追加するなどの処置をおこないます。もし店全体の問題であれば、具体的な改善策を取る方針をお客様に説明する必要も出てきます。
飲食店のクレーム時に気を付けるべきポイントとは?
飲食店の業務に対してクレームを受けた場合に、気を付けておくべきことはどんなことでしょうか。
状況確認のためにしっかりとしたヒヤリングを行うこと
お客様に対してとりあえず謝罪の意をあきらかにしておくことが大事ですが、それと同時に問題を完全に解決するためには、事実をはっきりとさせ、起きた事態の全容を誰もが認める形で明確にする必要があります。そうした上で店側の非となる点をしっかりと認め、謝罪や料金の無料化・追加の無料サービスなどてきぱきとした対応で、お客様に納得していただけるよう努めなければなりません。
冷静かつ適切な判断を行うこと
その様な事態が起きて対処する際には、怒りや不機嫌などで対立を助長するような態度・表情・言葉遣いは絶対に禁物です。トラブルを鎮静化させるどころか、さらに悪化させることになりかねません。物事を沈着冷静に判断し対応の仕方を決定する、まるで裁判官のようなふるまいが求められます。
まず、お客様の安全を第一に
もしお客様がやけどやけがを負ってしまった場合は、その場での応急処置や救急車の手配など、すべてを差し置いてお客様の安全確保に努めなければなりません。
飲食店におけるクレーム対策は日頃の教育から行うこと!
たとえトラブルの発生もなくお店の業務が毎日順調に行われていて、「順風満帆」を絵にかいたような経営状況にあるとしても決して油断をしてはいけません。お店側の何らかの落ち度や不備などによるお客様からのクレームは、どんな店であっても発生する可能性はあると思っておく必要があります。そのような事態に陥った時に、問題をちゃんと解決して再び平常通りの経営に一刻も早く戻るためには、慌てたり、感情のままに行動・発言せず、冷静で適切な態度で対応できるように心の準備をしておく必要があります。また、それと同じくらい大事なことが、不適切な接客態度で、せっかく来店していただいたお客様の気分を害するようなことを一切慎み、飲食店現場で働く以上は、お客様に必ず満足して帰っていただく気持ちを忘れずに仕事をするよう、教育的指導を施しておくことです。予防策と対応策がしっかりかみ合うことでよりレベルの高い理想的なお店へと成長し続けていくものと思われます。